40年ほど前、社会人になって2・3年目の頃から、都内に出たついでに一人で絵を観に行くようになりました。　当時は三越や大丸など、あちこちの百貨店の催事場で絵画展が開催されており、買い物気分で気軽に見に行くことが出来ました。　西武デパートの「ピカソ展」を見に行ったのが、最初だったような気がします。　・・で、本物の絵画の持つ圧倒的な力・素晴らしさに “衝撃” を受け、以来美術展巡りが、趣味の一つになりました。

シャガールの展覧会にはじめて行った時に、一枚の絵がどうにも気に入って、図録と一緒に絵葉書ではなくポスターを購入しました。　A０サイズだから1200×840くらい・・筒状に丸めたものを家まで持って帰ってきた記憶があります。
その後、結婚して家を出た後も、そのまま自室の壁に飾ってあったのですが、15年前、古い家を壊し現在の自宅を建てる時に、ポスターをはがす間もなく撤去されてしまい、以来なんとなく心のどこかに「再購入できないものか・・。」という思いがありました。

シャガールは多作なので、検索すれば数限りなく「アートポスター」は出てくるのですが、なかなか「その絵」を探し出すことが出来ず・・。　そして、ここのところハマっているアートフィクション関係の本を読んでいる最中にふと思い立ち、当時買った図録を見直していたら、『ヴァンスをめぐる想い』と題名が判明。　今まで何故気が付かなかった！？
ポスターサイズでは見つからず、少し残念ではありますが、壁かけサイズのものを購入。　しかもデビットカードのポイント還元で、思ったよりも低価格。　有難い！！

たかが一枚の絵なのですが、このポスターが部屋に飾ってあった頃の自分を思い出します。　何かに追い立てられるように、自分の自信のなさを克服しようとしていた時期。
シャガールの多くの絵は鮮やかな色使いが多く、もっと情熱的なイメージなのですが、モノクロームの中の香り立つような花の色や、真ん中の時計に繋がれたキリストや、その後ろを飛んでいる魚や、穏やかな顔をした母子像など、この絵の中に平和のにおいや、穏やかな日々へのあこがれを嗅ぎ取ったのかもしれません。　唯一不穏な目をしているヤギは、私かも・・。

天高く気持ちの良い季節になってきました。　羊山に散歩に行ったら、桜の花が咲いていました。　彼岸桜？　それにしても少し早すぎない？　　この場所にある桜は、春に咲いていたような気もしつつ・・。