“新潮文庫100冊” が初めて作られたのが、私が大学の1年生の時。 友人たちと何冊読んだか数えたら、私は20冊程度だったのにみんな40冊を超えていて、「東京の子ってすごい!」と感心させられことを今でも覚えています。 当時の選書は「王道」で、森鴎外や夏目漱石、芥川龍之介ほか明治時代に書かれたものや外国の作品も多く、友人からは「読んでいて当たり前!」と言われたような気がします。 田舎者としては結構読んでるつもりだったので、入学早々出ばなをくじかれた感じ・・。
その後、新潮社に加え集英社と角川書店が加わって、話題の作品や映画化・ドラマ化されたものを多く掲載するようになりました。 古典に近いものは昔々読みましたが、今では作品名はもとより、作者名さえ知らないことが多くなり・・。 出版することのハードルは確かに下がったとはいえ、若い著者が増えているのはとても良いことだと思います。
夏の定番になった “100冊” 小冊子は、読み物としても面白く、眺めているだけでも楽しいです。 湊かなえの『絶唱』は、ずいぶん前に買ったのですが、そのまま本棚に置かれていたのを、100冊に選ばれていることを機会に読みました。 『鍵のかかった部屋』はテレビドラマ化されたもので、これを機会にトリックをしっかり理解しようと思い・・。
本離れがますます進み、出版社の皆さまのご苦労がしのばれます。 でもやっぱり読書って楽しい! 静かに一人で誰にも迷惑をかけず、本の世界に入っていける。 直接的に与えられるものではなく、想像を働かせる良いチャンスだと思っています。 人の喜びも痛みも価値観の違いも、「想像することからのスタート」なのではないでしょうか。
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